資料請求 LINE相談 学校説明会
オープンキャンパス
TID
Exclusive
Interview
05

Junichi
Shiozaki

「データサイエンス力」と「データエンジニアリング力」、
そして「ビジネス力」を併せ持つプロフェッショナルに。

NRI 株式会社 野村総合研究所
データサイエンスラボ長
塩崎 潤一

1990年に野村総合研究所に入社。2021年に新設されたデータサイエンスラボの責任者に就任。入社以来、データを活用したマーケティング分野でのプロジェクトを担当。データサイエンス用語をわかりやすく紹介したYouTubeチャンネル(https://www.youtube.com/c/NRIDSL)も公開中。主な著書に「変わりゆく日本人」、「第三の消費スタイル」、「データサイエンティスト入門など。

ビジネス戦略の提案から、
デジタル技術を使った
課題解決まで

— NRIは、どんな強みを持った企業ですか?

ビジネスの上流のコンサルティングから下流のシステム開発まで一貫して行うところが、他社にない特徴だと思います。一般のコンサルティングファームのように企業へ戦略だけ提案して終わるのではなく、デジタル技術を使って課題解決する。構想から始まって、モノづくり・システムづくりまでやる。簡単にいうと、いま時流に乗っているDXですね。

— やはり、デジタルビジネス戦略が重視されているのですね?

全社を挙げて取り組んでいるところです。DXを専門的に推し進めるグループ会社もありますし、NRI本体のコンサルティング業務もデジタル案件が増えてきています。「GDP+i」という新たな経済指標を提示するなど、デジタルの価値を見越してビジネスに取り組んでいこうという流れができていますね。

— データサイエンスの専門家である塩崎さんが定義する「データサイエンティスト」とは何でしょうか?

「データを使ってビジネスを変革できる人」です。一般的には「データを分析してお終い、集計してお終い」というイメージがあるかもしれませんが、そうではなく、データを活用して新しいことができないと意味がないと思うんですよね。

— それができる人材は、まだ少ないのが現状ですか?

たとえばSEあがりの人だとデータを効率的に分析・処理する能力には長けていても、それをビジネスにどうつなぐかという視点が欠けている場合が多い。近年は大学でデータサイエンスを学んだ人も多くいるのですが、「研究」としては最先端のものに取り組んでいても、それをビジネスにつなげられるかというとまた別問題で。望まれる人材がまだまだ少ないのは間違いありません。

— データサイエンティストには、具体的にどんなスキルが必要なのでしょうか?

3つありまして、1つ目が「データサイエンス力」。いわゆる統計学の知識ですね。データを集計する、統計的に意味のある分析をするといった数学の力です。2つ目が「データエンジニアリング力」。プログラミングの力です。多量のデータをパソコンでいかに早く処理できるかのスキルが問われます。そして3つ目が「ビジネス力」で、データを使ってビジネスを変えていけるかを考える力です。大学の学部でいえば、それぞれ数学科・情報学科・経営学科で育まれる力といえるでしょうか。

— そう伺うと、ハードルが高そうですね。

ただ3つの学部ですべて満点を取る必要はないんですよ。それができる人間なんていませんから(笑)。各学部50点ずつでも、バランスよく取ることが大事なんです。だから人材育成の観点からは、それらをバランスよく学べる場所を用意できるかが、すごく重要になると思います。

AI TECHNOLOGY 大量のデータから「何か」を生み出す、
アルゴリズムとロジック

— 次にAIに関する質問で、この技術をビジネスツールとして有効活用するうえでのポイントは何でしょうか?

AIの最大の利点は、処理できるデータ量が圧倒的に増えることです。たとえば1人のスポーツ選手について測定できる数値の量が100倍になる。そうすると「何か」ができそうですよね?その「何か」を考える時に必要なのが、アルゴリズムやロジックです。この数値が高いからどうなるか、この数字にはどんな意味があるかといったことをデータサイエンティストが考え、新しい方程式や論理ができてくるんです。

— NRIでは仕事現場の身近な課題を解決するためにAIを活用されていますが、その具体例を教えてください。

1つに「配送最適化」というものがあります。宅配便の荷物をどう最短のルートで配送できるかを考える時に、現代ではトラックが秒単位でいまどこにいるか、荷物の大きさや運ぶ先といった大量のデータが得られるようになった。それをどう処理するかのアルゴリズムを作っていく仕事ですね。後は「自動発注」などが分かりやすい例だと思います。どの商品がどんなタイミングで店に無くなる、来週は気温が何度になるからこんな商品が売れるといったデータを基に、需要を予測しながら自動発注するシステムですね。これまで店長さんが経験値でやっていた仕事を、気温だけでなく湿度や祝日、イベントなど多くのキーとなる要素を根拠として自動化するわけです。

HUMAN RESOURCE DEVELOPMENT 「先人の知恵」を上手に使って、
新しいビジネスを創りだす人へ

— 人材育成において、よりビジネスに直結する教育機関であるTIDに期待されることは何ですか?

たとえば「AIが囲碁や将棋の専門家に勝った」という話がありますよね。データを使って処理する能力を高めることでそれが実現したわけで、データサイエンスの大きな成果の1つですが、ビジネスの観点から見ると「それが何?」となってしまう。データサイエンスにも色々な分野がありますが、データをビジネスにどう使うかを学生に教えるのがTIDの一番の役割だと思います。データサイエンティストは、オープンソース志向が強い人たちです。自分が考えたアルゴリズムやプログラムを積極的に公開し、他者からの指摘を受けてさらに良くする。それが当たり前の世界なんですね。だから、オープンな「先人の知恵」はいっぱいある。それらを上手に使って新しいビジネスを創りだすノウハウを、この大学でぜひ培ってほしいです。

— 最後に、将来データサイエンティストを目指す若者たちへメッセージをお願いします。

まずデータサイエンティストがどういうものかを知ってほしい。その人たちが何をやっているのか、何をやれる可能性があるのか。それをきちんと理解したうえで、自分がデータサイエンティストを目指すかどうかを決めてほしいと思います。

  • EVENT OPEN CAMPUS
  • 資料請求
  • 業界コラム