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NFTとは?注目される背景や仕組みを解説

NFTとは

PROFILE
上野 仁 教授(東京情報デザイン専門職大学)

担当科目
情報システム基礎 / Cプログラミング / スクリプトプログラミング / Linux演習 / オペレーティングシステム / 分散システム / Pythonプログラミング / ビジネスデザインⅠ / ビジネスデザインⅡ

経歴
元日立製作所のコンピュータアーキテクチャ研究者。長年大型コンピュータやサーバハードウェア、そのオペレーティングシステム(OS)の高性能化、高信頼化に関する研究開発に従事。クラウドサービス基盤として必要不可欠となった技術であり複数OSを並行動作させる機能を持つ「仮想計算機ハイパーバイザ」の開発も担当した基本ソフトウェアの専門家。

 

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昨今、NFTはニュースで取り上げられるほど注目を集めています。しかし、実際にはどんなものなのか具体的にはわからないという方が多いのではないでしょうか。NFTとは楽曲データや画像データ、動画データなどデジタルコンテンツの所有者を証明する仕組みとして有名になりました。

本記事では、NFTの特徴や仕組み、注目されてきている背景について解説します。

NFTとはどんな技術?

NFTは代替不可能なトークンのことで、インターネット上でデジタルコンテンツを唯一無二のものとして扱うための新しい仕組みです。デジタルコンテンツの所有権を証明する仕組みとして有名になりましたが、所有権を売買するマーケットプレイスも作られているので、自分で作成したデジタルコンテンツを売ってお金を稼ぐことができます。NFTマーケットプレイスとしては例えば「OpenSea」が有名です。(図1)

NFTとはどんな技術?

NFTはブロックチェーン技術を利用した仕組みです。仮想通貨(暗号資産)Bitcoin開発のために発明されたブロックチェーンですが、仮想通貨Ethereumによるスマートコントラクト機能の実現に発展し、それを応用してNFTを実現しているのです。

Ethernetは厳密には暗号資産そのものではなく、ブロックチェーンに特定の条件が満たされたときに自動的に実行される仕組みである「スマートコントラクト」という機能を組み込んだ分散管理型のプラットフォームのことを指します。

ここではコンピュータ技術の観点からNFTの仕組みを解説します。

NFTが注目される理由・背景

通常、デジタルコンテンツはコピーが容易なので、誰もが品質の劣化なしに同じコンテンツを楽しむことができます。同じものが簡単にコピーできるのでは、誰も作品の価値に見合ったお金を原作者に払ってくれません。

NFTはデジタルコンテンツの所有権(厳密には法律で認められた所有権ではありません)を証明する仕組みとして開発されました。ブロックチェーンにより所有権が誰から誰に移ったという情報がインターネット上に常に公開されるので、世界中の人がそのデジタルコンテンツの所有者が誰であるかを(本名は分かりませんが)知ることができるのです。

世界中の人が誰でもそのデジタルコンテンツの所有者を認識可能であるという意味で、所有権を証明していると言えます。

そうなると、若いアーティストのデジタルコンテンツ作品を高く買って、後日、その人が有名アーティストになったときにはもっと高く売って利益を挙げる、といった使い方ができるようになります。

このような理由からNFTが注目されるようになりました。

NFTはスマートコントラクト機能により実現

NFTはスマートコントラクト機能により実現

BitcoinやEthereumなどの仮想通貨(暗号資産)はブロックチェーン技術により実現しています。ブロックチェーンを用いると、特定の管理者に権限を集中せずに、すべてのデータをインターネット上に公開してトランザクション(送金要求など、ユーザの指示)を送金して記録することができます。

ブロックチェーンを運用するためには、自由意志で参加してくれるたくさんのマイニング(発掘)コンピュータが必要であり、BitcoinやEthereumはそれぞれ独自のブロックチェーンにより実行されています。

最初にBitcoinが発明されて以来、たくさんの種類の仮想通貨が現れて取引されていますが、それらすべてが独自のブロックチェーンを運用しているわけではありません。独自のブロックチェーンを運用するためにはマイニングに参加する多くの一般参加者を集めなければならないので誰でもができるわけではないからです。そこでEthereumでは「スマートコントラクト」というプログラミング機能を設けました。

Ethereumのトランザクションとしてスマートコントラクト機能を用いると、トランザクション内に書いたプログラムがブロックチェーン上で実行できるのです。後発の仮想通貨の多くはスマートコントラクト機能を用いてEthereumのブロックチェーン上で独自の仮想通貨を実現しているのです。これをブロックチェーンを持つ仮想通貨と区別して「トークン」と呼びます。

仮想通貨として用いるトークンは、誰が所持しているトークンも同じ価値を持ちます。普通のお金のように、1万円札は誰が持っている1万円札でも同じ価値を持つ、という考え方です。これをfungible(交換可能)といいます。

さて、そこで新たに考え出された機能があります。トークン1個ずつを区別して別のものを意味することにしたら、デジタルコンテンツの所有証明書になるのではないかという考えで、スマートコントラクト機能によるプログラムで実現されました。トークン1個ごとに異なるデジタルコンテンツを示すので交換不可能です。

そこでこの機能は交換不可能(非代替性)なトークン(Non-Fungible Token)と呼ばれるようになりました。ブロックチェーン技術の上に載った3段目の技術と理解すればよいでしょう。(図2)

トークンの図解

 

NFTの価値を本物のお金に例えてみると、1万円札には1枚ごとに異なる番号が印刷されていますが、特定の番号のお札には異なる価値があるように扱いましょう、ということにでもなるでしょうか。全桁が「7」の番号の1万円札を高額で買います、なんていう人がいるかもしれません。

NFTのコンテンツはブロックチェーン上にあるのか?

NFTで個別の価値を持たせたデジタルコンテンツを販売するマーケットプレイスとして有名なOpenSeaには、アート、ゲーム、メンバーシップ、PFP(プロフィール・ピクチャー)、写真、音楽といった分類があり多くのデジタルコンテンツが出品されています。だれでも自由に自作のコンテンツを出品することができるし、希望の値段で落札できれば購入することもできます。

これらのデジタルコンテンツはブロックチェーンで「トークン」として扱うトランザクションの大きさに比べて非常に大きいので、ブロックチェーン上に直接記憶させておく(オンチェーンという)ことは困難です。そこでNFTトークンの中にはデジタルコンテンツが格納されている「場所」の情報だけを記録してコンテンツそのものは外部に記憶する(オフチェーンという)ことが普通です。

しかし、肝心のコンテンツが私的なサーバ上にあるのではいつインターネットからアクセスできなくなるか、誰かにハッキングされてコンテンツが壊されるのではないか、などと心配しなければならなくなります。

そこで利用されるのが分散ファイルシステム(IPFS)です。このシステムもブロックチェーンと同様、特定の組織に権限が集中されているのではない共同作業的なファイル格納システムとなっています。

コンテンツのデータそのものからハッシュ値を計算してファイルアクセスのキーとするので、コンテンツが改ざんされたり消去されたりしたら、そのファイルは存在しないものとしてアクセスできなくなります。

この機能によりIPFS上のデジタルコンテンツは破壊や改ざんから守られており、NFTのデジタルコンテンツ保存場所として有用になっています。(図3)

NFTのコンテンツの保存場所の図解

 NFTの基盤技術ブロックチェーン

ブロックチェーンは公開鍵暗号技術やハッシュ関数など数学やプログラミングを応用したコンピュータサイエンスの研究の一部であると言えます。国家や大組織などに依存しない通貨を実現したいと考えた「Satoshi Nakamoto」がBitcoinをブロックチェーンにより実現するアイデアを論文に書いてインターネット上に投稿し、実際にプログラム開発を始めました。

未だにSatoshi Nakamotoの正体は不明のままですが、絶対的な権利者を置くことなく、参加者全員の協力で高いセキュリティを確保してオープンな制御ができる、この技術を発明して正体を明かすことなく消えていったことには、ロマンを感じます。

NFTだけでなくブロックチェーンの応用にはいろいろなものが考えられており、これからもいろいろなアイデアが出現しそうです。

まとめ

NFT技術を始めとするブロックチェーンの応用技術は、前述のように数学やプログラミング、サイバーセキュリティ関連などコンピュータサイエンス領域の研究です。コンピュータの技術を社会の役に立つようにシステム設計(デザイン)する方法について研究することが本学が専門とする情報デザイン学の目的です。

東京情報デザイン専門職大学では数学を応用したコンピュータアルゴリズムやサイバーセキュリティ、ブロックチェーンに活用されている分散システムなど、関連科目を学ぶことができます。

 

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