
UI/UXデザイナーとは?業務内容からなり方まで解説
近年、さまざまなサービスやアプリ、Webサイトで “UI/UX” という領域の注目度が高まっています。直感的な操作が求められているだけでなく、機能性や見た目、利用後のユーザー体験まで想定しなければ、プロダクトが成功しにくい環境になりつつあるといえるでしょう。

UI/UXを通してユーザーに価値を届けるUI/UXデザイナーのニーズも高まってきています。しかし、UI/UXデザイナーがどこで活躍できるのか、どのようなスキルがあれば将来の選択肢として検討できるのかを知らない方もいるでしょう。
本記事では、UI/UXデザイナーの概要や仕事内容、将来性、キャリアパスなどについて詳しくみていきます。
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記事の概要
UI/UXとは?

UI/UXは、どちらもユーザーに接するものです。
UIとは、ユーザーインターフェース(User Interface)の略称です。インターフェースとは接点を表し、ユーザー(利用者)と製品・サービスの間のあらゆる接点を意味します。Webサイトであれば、デザインや操作性、文字の読みやすさを含みます。画面に表示される情報はUIとして扱われ、見た目だけでなく、機能性まで含めて評価することが求められます。
もともとは機械と人の接点をどのようにしたら使いやすいか?という観点から発達してきた領域ですが、近年では、WebサイトやWebアプリなどが多くの人たちに活用されることになり、UIの重要性が高まりました。
また、パソコンやスマホ以外のデバイスの進化もUIを語る上で重要です。
たとえば、古くは非接触型の交通系ICカードからはじまり、骨伝導で聴こえるイヤホン、VRゴーグル、リング型の操作端末など、今まで触ったことがないさまざまなものがたくさん市場に溢れました。
それらの「モノ」と「ユーザー」の接点を考える必要があります。
機能をしっかりと利用できて、見た目がよく、さらにわかりやすく使い勝手がよく、価値を届けることができるUIを設計し、デザインする力が求められています。
一方で、UXとは、ユーザーエクスペリエンス(User Experience)の略称です。エクスペリエンスはeXと訳すこともあるものの、この後ろのXを略語として使って、UXと呼ばれています。
エクスペリエンスとは経験や体験を表し、ユーザーが製品やサービスを通して得られる体験のすべてを意味します。
UIによってユーザーとの接点を提供したうえで、サービスを通してどのような感情や印象を持つのかといった体験に焦点をあてています。
たとえば、サービスを利用することで「使いやすい」「写真から魅力が伝わる」などの良い感情をユーザーが得られた場合、UXの評価につながります。サービスや製品の使用前・使用後で、感想や感覚に良い変化があった場合も同様にUXが優れていると評価されるでしょう。
最低限の機能をリーズナブルな価格で提供すれば、製品やサービスが売れていた時代とは違い、あらゆるものがどこでもだれでも気軽に手に入る時代になりました。そのため、単に製品やサービスが使えるだけでは差別化ができない状態だといえます
そのため、ユーザーには「これは他のものと違って私にとっていい感じかも」「何か他と違って素敵」と思えるような 体験を付与して製品やサービスの魅力を高める必要が生まれてきました。
たとえば、空港などでは滞在経験をうまく設計するだけではなく、利用する前の体験や利用した後の体験までを含めて、UXを設計しデザインしなければなりません。単に製品やサービスを利用する体験だけではなく、前後の体験も合わせてデザインすることが求められています。
UI/UXデザイナーとは

ここからは、UI/UXデザイナーがどのような仕事か詳しくみていきましょう。どちらもユーザーの目線を意識した仕事ではあるものの、ユーザーが接する情報と、最終的に得られる体験のどちらを作りたいのかによって、業務内容が変わってきます。
UIデザイナーとはどのような仕事か
UIデザイナーは、アプリ・ソフトウェア・WebサイトのUIをデザインする仕事です。次のような場面でユーザーがふれる画面設計を担います。
- スマートフォンアプリのデザインやボタンの配置(見た目としてデザインを損なう配置になっていないか)
- ソフトウェアの画面のわかりやすさと見やすさ(わかりやすい機能となっているかどうか)
- Webサイトの見やすさ(サイトを訪れたユーザーがスムーズに目的を達成できるか)
UIデザイナーの設計範囲は、ユーザーに配慮した画面設計やアプリの操作性まで含まれます。サービスやアプリを利用するユーザーに対して、どのように操作すればスムーズに使用してもらえるのかを追求する仕事だといえるでしょう。
UXデザイナーとはどのような仕事か
UXデザイナーは、UI部分も含めて、サービスやWebサイトを利用したユーザーの体験を設計することが目的となります。例えば、ユーザーがWebサイトを訪れた際に「どのような感覚を抱き、どのような体験を得られるのか」を客観的な視点から判断し、設計していきます。
仮に、UIが優れていると評価されたうえで、UXとしても操作しやすく印象に残るといった感想をユーザーが抱いた場合、UXデザイナーの評価につながるといえるでしょう。
ユーザー心理を理解し、さらにブランディング、マーケティングとしての視点も必要となる仕事です。
Webデザイナーとの違い
UI/UXデザイナーとWebデザイナーとの違いは次のようになります。今回は、サービス提供を事例にそれぞれの違いをみていきましょう。
- UIデザイナー・・・サービスの機能面から使いやすさをデザインする
- UXデザイナー・・・サービス全体を通してユーザーの体験をデザインする
- Webデザイナー・・・Webサイトを専門的にデザインする
UI/UXデザイナーの場合、サービスの設計に関わるケースが多く、Webデザイナーと比較してより幅広い知識とスキルが要求されます。また、UI/UXデザイナーの場合、Webデザイナーと兼任するケースもあるため、業務内容をしっかり確認する必要もあります。
UI/UXデザイナーの仕事内容

ここからは、UI/UXデザイナーの具体的な仕事内容についてみていきましょう。UI/UXデザイナーはサービスの設計がメインとなるものの、違いを具体的に知ることで将来的に関わりたい仕事内容を検討できます。
UIデザイナーの仕事内容
ユーザーが、求める情報へとスムーズにたどり着ける画面構成を設計します。比較的多いのは、次のような流れで仕事を進めるケースです。
- クライアント及びプロジェクトチームと話し合い、サービスの内容やUIの方向性を決める
- ユーザーがふれる情報に対して、目標値を決め、導線を検討しながら設計を行う
- サービス完成後のテスト運用を実施する
WebサイトやアプリにおけるUIは定期的なアップデートを行うことも少なくありません。そのため、一度関わったプロジェクトに再び関わることも想定されます。
また、業務によっては、サービスの根幹から関わるケースもあれば、画面設計だけを行うケースもあります。デザインの知識が求められる仕事であるため、常にトレンドにアンテナを張り、情報のアップデートが必要です。
UXデザイナーの5段階モデルと仕事内容
ユーザーに対して、サービスや製品を利用したときの体験を設計します。そのうえで、UXデザイナーの業務内容は、アメリカのUXデザイナーJesse James Garrett 氏が著書「Elements of User Experience」内で提唱しているUXの5段階モデルに基づいて、次のように整理できます。
段階 | 内容 |
---|---|
戦略 | ユーザーのニーズの分析・特定、サービスやプロダクトの目的の策定など。サービスとして必要な理由を示す |
要件 | 戦略を前提として、必要なコンテンツと機能を設計する |
構造 | 全体の構造を設定する。コンテンツと機能を組み合わせる必要があるため、要件で設定したものを使用する |
骨格 | ユーザーニーズに沿った情報設計を行う。プロダクトとして優先するコンテンツやボタンの配置などを具体的に設計する |
表層 | 直感的な操作が可能かどうか判断し、体験として残るかを総合的・客観的にみる |
問題を発見し、解決していく必要がある仕事だといえるでしょう。そのため、デザイン要素だけでなく、市場調査やユーザーインタビュー、クライアントとの話し合いなどの業務が発生します。カスタマージャーニーの作成や、WebサイトでのABテストなども実施する必要があるため、マーケティング知識も必要です。
企業によってはUI/UXどちらも担当するケースが多いといえるでしょう。UXは定期的に改善していく必要もあるため、アクセス解析やユーザーの行動データからの戦略策定なども行います。
UI/UXデザイナーの魅力・やりがい

UI/UXの設計は、ユーザーのニーズに沿ったサービスやアプリを設計する際には欠かせないものだといえます。ここからは、UI/UXデザイナーの魅力・やりがいについてみていきましょう。
チームで協力して作り上げる達成感を得られる
チーム単位でサービスを作り上げることから、完成したときには大きな達成感を得られます。UIでは欲しい情報にたどり着けるスムーズな操作性、UXではサービスを通して印象に残るユーザー体験など、チームで共通の目標を持ちながら業務を進めて行く点は魅力の1つだといえるでしょう。
画面設計や全体的な体験の設計によって、ユーザーがプロダクトに対して良い印象を抱く、あるいは既存サービスの改善によって良い印象に変えられるといったやりがいもあります。
ユーザーニーズを含めて創意工夫、スキルの追求ができる
UI/UXデザイナーは、目的に合わせて設計を行い、ユーザーによりそったUIと体験を提供しなければなりません。そのため、クライアントのニーズを満たすだけでなく、UI/UXデザイナーの創意工夫によってユーザーの満足度を上げることも可能です。
また、それぞれのサービスによって目的が異なるため、目指すゴールも異なってきます。例えば、改修前には不明確だったユーザーの困りごとを、どのように解決できるのかを明確に示すだけでもサービスとしては改善に近づくでしょう。
問題点をチーム単位で見直しつつ、個人のスキルを高め、さまざまな問題を解決していくことでやりがいを得ることができます。
自分のデザインを反映できる
UI/UXデザイナーの場合、アプリやサービスの操作性や機能性まで検討する必要があります。そのうえで、ユーザーの使いやすさを重視したデザインの提案が可能です。
Webデザイナーと協力する場合も、機能性と見た目を損なわないデザインを目指すといった業務の進め方ができる点は、魅力の1つといえるでしょう。また、画面設計を主とする場合でも、意図しているニーズを満たすことができる、多くの人に使用してもらえるといったやりがいもあります。
UI/UXデザイナーに必要なスキル・能力

ここからは、UI/UXデザイナーに必要なスキルや能力についてみていきましょう。クライアントの目的を果たしたうえで、ユーザー目線に立てる視点の広さや発想力など、デザイン性だけでなく、新しいものに挑戦する意識なども必要といえます。
マーケティングの知識
マーケティングのなかでも、とくにブランディングに関する知識が必要になります。サービスを通してどのような立ち位置を獲得し、どういった課題を解決できるのかをクライアントに伝える必要があるためです。
そのため、市場や競合他社の調査・分析、差別化するための発想力も求められます。最適な手法が変わっていく可能性もあるため、常にマーケティングの知識を蓄積していく必要があるといえるでしょう。
コミュニケーション能力
チームとしてコミュニケーションを取るだけでなく、次のような対応も必要となります。
- クライアントの課題やサービスの目的を聞き出す
- ユーザーから直接の声を聞いてくる
- 双方の意見を合わせて統合し、チームに伝えサービスの機能性やデザイン面に反映する
さまざまな人から意見を聞いたうえで、ニーズに合わせて機能と画面を設計するため、コミュニケーション能力は必須になるといえます。また、柔軟な対応が求められるケースも多くあるでしょう。計画の段階から参画する場合には、計画どおりに進んでいるかを確認する場面もあるため、管理能力も大切になります。
創造力
戦略部分から実装部分まで対応する場合、創造力が求められます。例えば、作成したカスタマージャーニーに対して、データ上の数字や答えだけではなく、よりニーズを満たせる提案を行うことも必要となるでしょう。
求められている課題解決の方法に対して、より幅広い視点からアドバイスを求められるケースも少なくありません。そのため、常にユニークな感性やセンスを磨き、好奇心を持ち続けていることが仕事の評価にもつながりやすいといえます。
デザインスキル
PhotoshopやIllustratorといったメジャーなソフトウェアの知識は、業務に活かすことが可能です。とくに、簡単なバナーやアイコンの作成などは、UI/UXデザイナーに求められるケースも少なくありません。
詳細なデザインを設計するケースは多くないものの、視覚的な要素の変更を指示する場合などにも役立つため、学んでおくとよいでしょう。
コーディングに関する知識
HTMLやCSS、JavaScriptの知識があれば、エンジニアとの会話がしやすくなります。UI/UXデザイナーの場合、実際にプログラムを組むことはほとんどありません。しかし、どういった作業が必要なのか、どういった工程になるのかを把握していれば、戦略や計画を組む段階である程度サービスの動作を想定しやすくなります。
UI/UXデザイナーに役立つ資格

ここからは、UI/UXデザイナーに役立つ資格をみていきましょう。必須の資格はないものの、保有していることで評価される・提案がしやすくなるといったメリットがあるため、取得の検討をおすすめします。
ユニバーサルデザインコーディネーター認定資格
実利用者研究機構が認定している資格です。 ユニバーサルデザインの視点から問題解決ができる人材を育成することを目的としています。 レベルが5段階に設定されており、マネジメントから提案力といった項目などが出題されます。
サービス設計を行う場合に役立つ資格だといえるでしょう。
HTML5プロフェッショナル認定試験
NPO団体(非営利団体)LPI-Japanが実施・認定している資格です。レベル1、レベル2に設定されており、HTML5やCSS3、JavaScriptなどに関する問題が出題されます。取得することで、広くWeb コンテンツアプリケーションの制作知識があることを証明することができます。
とくにレベル1においては、HTML5を使用したうえで、ユーザー体験を考慮したコンテンツ制作の知識が身に着きます。
ウェブデザイン技能検定
特定非営利活動法人(NPO法人)インターネットスキル認定普及協会が実施している国家資格です。1級から3級まで設定されており、すべての級で学科・実技試験があります。3級が初心者、1級は上級者向けの内容になっており、基礎的な知識から応用にいたるまで知識を習得できます。
3級は実務経験がなくても受験できるものの、2級・1級は実務経験が必要になります。
Google UX Designプロフェッショナル認定
Googleが主催しているUXに関するオンライン講座です。全7コースで、UXデザインの基礎やワイヤーフレーム、レスポンシブデザインなどを学習できます。基礎的な内容ではあるものの、体系的に学びたい場合は推奨できる講座となっています。
マルチメディア検定
公益財団法人画像情報教育振興協会が認定している民間資格です。 受験資格はありません。 マルチメディアの基礎となるユーザーインターフェースやデジタルコンテンツの構築、知的財産権など、デジタル上のコミュニケーションとして必要となる知識や技能を学ぶことができます。
UI/UXデザイナーのキャリアパス

プロジェクトマネージャーやWebデザイナーからUI/UXデザイナーを目指すことが可能です。マネージャーの立場ではなく、デザイン全体の統括を行える立場として、UI/UXデザイナーが求められているといえるでしょう。
また、デザイン全体の統括できるスキルがあるため、UI/UXデザイナーからマネージャーやプロデューサーといった他の業種への転職も難しくありません。UI/UXデザイナーの活躍の場がWebに限らないものの、ニーズや業界の動向に合わせ立場を選択しやすい点は魅力の1つです。
UI/UXデザイナーの年収と将来性

厚生労働省の賃金構造基本統計調査によると、デザイナーの平均年収は約536万程度です。
しかし、業界や所属している企業によって差が大きく、場合によっては700万円程度になることもあります。 また、年収の推移をみていくと経験年数が長いほど高くなりやすい傾向にあります。
UI/UXデザイナーの将来性は高く、今後も需要がある仕事だといえるでしょう。デザインだけでなく、ユーザー体験を考えたうえでのサービス設計はこれからの時代に求められるスキルの1つです。AIを活用したマーケティングにおいても、追求されているのは新しいユーザー体験です。
UI/UXデザイナーになるには

ここからは、UI/UXデザイナーになりたい方が、どのような進路を歩めばよいのかについて解説していきます。
Webデザイナーからのキャリアチェンジ
Webデザイナーは、Webサイトのデザインに特化した仕事です。そこから、UI/UXデザイナーとなった場合、機能も含めてサイト全体の設計も可能となるため、これまでの経験とスキルを活かすことができます。
そのため、Webデザイナーを経験したあとに、UI/UXデザイナーにステップアップする方法は現実的だといえるでしょう。
コンサルタント、プロジェクトマネージャーからキャリアチェンジ
コンサルタントやプロジェクトマネージャーからUI/UXデザイナーを目指す場合、これまで培ったコミュニケーション能力やブランディング能力を活かすことができます。とくに、立場の異なる人々に指示を出す・チームをまとめて仕事を進めていく能力やスキルはUI/UXデザイナーでも必須です。
Webデザインの専門学校でサイトデザイン系のスキルを身に着け、就職する
Webデザインの専門学校で学ぶことで、将来、UI/UXデザイナーを目指すことができます。基本的なスキルだけでなく、応用まで学ぶ機会も多くあるため、それぞれの学校のサポート体制や学科などはよく調べておきましょう。
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UI/UXデザイナーのどちらを目指すとしても、ユーザー視点からサービスを検討し、クライアントのニーズを反映するという考え方が大切になります。とくにUXに関わる場合は、チームでサービスの可能性を検討し、ユーザーにどういった体験を提供できるかを設計するため、マーケティングやマネジメント・Webデザインなど幅広い知識が必要となります。
そのうえで、学生の段階から基礎知識をしっかり身に着け、専門的なスキルを高めていくことでUI/UXデザイナーを将来の選択肢として考えやすくなるでしょう。
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