
初心者必見!ITとICTの違いとIoTの活用例を解説
PROFILE
以後 直樹 教授(東京情報デザイン専門職大学)
担当科目
数学(線形代数) / Cプログラミング / Pythonプログラミング / 数値計算 / 情報デザイン実習Ⅰ / 情報デザイン基礎
経歴
筑波大学第三学群卒業、同大学院システム情報工学研究科博士後期課程修了(博士(工学))母校の旭川工業高等専門学校にて教員として従事。旭川工業高等専門学校システム制御情報工学科准教授を経て、現在に至る。
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記事の概要
IT・ICT・IoTとは?
まずは、それぞれの用語の意味を確認しましょう。
ITとは?
IT(Information Technology)は、「情報技術」を指し、コンピュータやインターネット、ソフトウェア、ハードウェアなど、情報の収集、処理、保存、伝達に関する技術全般を意味します。例えば、パソコンでの文書作成、インターネットでの情報検索、スマートフォンのアプリ利用など、私たちの日常生活の多くの場面でITは活用されています。
ICTとは?
ICT(Information and Communication Technology)は、「情報通信技術」を意味し、ITに「Communication(通信)」の要素を加えたものです。つまり、情報技術に加えて、人と人、人とモノの間で情報や知識を共有・伝達する技術や方法を強調しています。具体的には、メールやSNS、オンライン会議システムなど、コミュニケーションを円滑にするための技術がICTに該当します。
IoTとは?
IoT(Internet of Things)は、「モノのインターネット」を指し、従来はインターネットに接続されていなかった家電製品や自動車、産業機器などの「モノ」がネットワークに接続され、相互に情報をやり取りする仕組みや技術を意味します。IoTは、センサーやデバイスを通じて収集されたデータがインターネットを介して送信・解析され、効率的な運用や判断を可能にする技術です。
例えば、Amazon AlexaやGoogle Homeといった音声アシスタントを搭載したスマートスピーカーや、スマートフォンで操作できる家電(エアコンや冷蔵庫)などがIoTの具体例として挙げられます。これらのデバイスは、ユーザーの音声や操作を通じて生活をより便利にし、効率化をサポートします。
IT・ICT・IoTの違いを徹底比較
「IT」「ICT」「IoT」という言葉は時に混同されがちですが、それぞれが担っている役割には明確な違いがあります。以下の表でその違いを整理してみましょう。
項目 | IT(情報技術) | ICT(情報通信技術) | IoT(モノのインターネット) |
定義 | 情報の処理や管理に関する技術 | 情報技術に通信技術や情報共有を加えたもの | インターネットを通じて「モノ」が情報をやり取りする技術 |
例 | コンピュータ、ソフトウェア、ネットワーク | メール、SNS、オンライン会議システム | スマート家電、ウェアラブルデバイス、スマートシティ |
強調点 | 技術そのもの | コミュニケーションや情報共有を強調 | 「モノ」の相互接続とデータ交換 |
この表からもわかるように、ITは「情報処理技術そのもの」、ICTは「その技術を活用して人々のコミュニケーションや情報のやり取りをサポートするもの」、IoTは「モノがネットワークを介してデータを交換する技術」として、役割がそれぞれ異なります。
ICTの具体的な活用例
ICTは、日常生活や教育現場でさまざまな形で活用されています。以下に具体的な例を紹介します。
日常生活での活用例
- スマートフォンの普及: メールやSNS、ビデオ通話など、さまざまなコミュニケーション手段を提供し、人々の交流を促進しています。
- オンラインショッピング: インターネットを通じて商品を購入できるサービスが一般化し、消費者の購買行動に変化をもたらしています。
教育現場での活用例
- 電子黒板やタブレットの導入: 授業での視覚的な教材提示や、児童生徒の個別学習支援に活用されています。
出典:文部科学省「ICTを利用した指導方法」 - オンライン授業: 遠隔地からでも授業に参加できる環境を整備し、教育の機会均等化に寄与しています。
- 学習管理システム(LMS)の活用: 課題の提出や成績管理、教師と生徒間のコミュニケーションをオンライン上で行うことで、教育活動の効率化を図っています。
これらのICT活用により、教育現場では授業の質の向上や学習者の主体的な学びが促進されています。
ICTの未来と今後の発展
ICTは、今後さらに発展し、私たちの生活や社会に大きな影響を与えると期待されています。特に、AI(人工知能)の導入により、以下のような進展が見込まれます。
- 教育分野: AIを活用した個別最適化学習の実現により、各生徒の理解度や進度に合わせた指導が可能となります。
- 医療分野: AIを活用した診断支援や遠隔医療の拡充により、医療サービスの質向上と地域格差の解消が期待されています。
- ビジネス分野: データ分析の高度化により、企業の意思決定プロセスが迅速化し、効率的なマーケティング戦略の立案が可能になります。
- 社会インフラ: スマートシティの実現により、交通管理やエネルギー消費の最適化が進むと考えられています。
これらの発展により、ICTは単なる通信技術に留まらず、社会全体のデジタルトランスフォーメーション(DX)の中心的役割を果たしていくでしょう。
AIがもたらすIT・ICT・IoTの進化
AIの技術と掛け合わせることによって、「IT」「ICT」「IoT」はさらに発展しています。
AI(人工知能)は、データ分析や意思決定の支援を行うだけでなく、IoTデバイスが収集したデータを分析して、より効率的なサービスを提供します。この連携によって、私たちの生活はさらに便利でスマートになります。
では、実際にどのように活用されているのでしょうか。
- スマート家電:スマート家電はAIによってユーザーの生活パターンを学習し、効率的にエネルギーを使用するようになります。例えば、エアコンは部屋の温度や湿度、住人の居場所に応じて自動調整され、無駄なエネルギー消費を削減します。こうしたシステムはITとICTを基盤にし、AIの学習能力によってさらに進化しています。
代表的な例として、Google HomeやAmazon Alexaなどの音声アシスタントを搭載したスマートスピーカーがあります。インターネットを通じて家電を操作し、ユーザーの音声に反応して家電を制御します。AI技術を活用することで、生活の効率化や利便性を向上させています。
自動運転車:車両に搭載されたIoTセンサーが道路状況や交通量をリアルタイムで収集し、その情報をAIが解析します。AIはその情報をもとに最適な運転判断を行い、事故を未然に防ぐだけでなく、渋滞を回避するための最短ルートを選択します。これにより、交通の効率が向上し、より安全な社会を実現するための鍵となっています。
ヘルスケア分野:ウェアラブルデバイスはユーザーの心拍数や歩数、睡眠の質をリアルタイムで監視し、そのデータをクラウドで管理します。AIはこれらのデータを分析し、健康状態に異常がないかを監視します。万が一、異常を検出した場合、AIが医師に通知を送ることも可能です。この技術により、早期の疾病発見や予防が進んでおり、医療の質を向上させています。
このように、AIの導入により、「IT」「ICT」「IoT」は連携を強化し、私たちの生活をより効率的かつ快適にするための技術として進化しています。
ITとICTとIoTを学ぶには
ITやICTを学ぶための方法は主に「専門学校」「オンライン講座」「大学」が挙げられます。
専門学校
システムエンジニアやIoTエンジニアなど、より具体的な職種に直結したカリキュラムが用意されています。短期間で実践的なスキルを習得できる点が特徴で、現場で求められる即戦力の育成に重点を置いています。
オンライン講座
オンラインでITやICTの基礎から応用まで学べる講座も充実しています。プログラミング学習サイトや資格取得向けのコースなど、自分のペースで学べる柔軟さが魅力です。特にプログラミングの基礎学習や特定の技術習得に適しています。
大学
情報学や工学系の学部でITやICT、IoT技術を体系的に学ぶことができます。プログラミング基礎からAI、データサイエンス、IoT技術など幅広くカバーされており、理論的な理解とともに実践的なスキルの習得が可能です。
東京情報デザイン専門職大学での学びの特徴
東京情報デザイン専門職大学では、情報技術の基礎から応用まで体系的に学ぶことができ、将来的にIT、ICT、IoT分野での活躍を目指すための土台を築けます。
さらに、3・4年次には必修の長期インターンシップを行うため、学内で培った知識と技術を、企業の現場で実務へ結びつける絶好の機会となります。
これらの技術は今後も社会の発展に不可欠であり、教育や医療、ビジネスなど多方面で活用が進んでいます。
東京情報デザイン専門職大学では、これらの技術を深く学ぶためのカリキュラムが整っており、将来のDXを担う人材を育成しています。
今後の進路選択の参考として、ぜひIT、ICTやIoT技術の学びに興味を持っていただければ幸いです。
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