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情報系の大学は就職に有利?情報工学の学生が企業に求められる理由や就職先について解説

PROFILE
能見利彦 教授(東京情報デザイン専門職大学)

担当科目
イノベーション戦略 / 知的財産戦略 / クロステック研究A / クロステック研究B / クロステック研究C / 臨地実務実習Ⅰ / 臨地実務実習Ⅱ

経歴
経済産業省・通商産業省にて、研究所や研究開発プロジェクトのマネジメント、我が国イノベーションの国際比較分析、ハイテク産業・地域産業・中小企業の振興政策の立案と実施などに携わる。京都大学機械工学修士、東北大学博士(工学)。産学連携などの研究実績も多く、神戸大学教授、研究・イノベーション学会副会長などを歴任。

 

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新しい社会をリードする情報技術

現在、イノベーション、第四次産業革命など社会は大きな変革期を迎えています。そして、変革の鍵になっているのが「情報技術」です。生成AI、ロボット、デジタルトランスフォーメーション(DX)、IoT、ビッグデータなど、様々な情報技術が、これからの社会をリードしていくでしょう。

これまで、情報技術は、私達の生活を大きく変えてきました。メールと言えば、昔は郵便でしたが、今はe-mailです。昔、テレビ電話は夢物語でしたが、今のリモート会議はテレビ電話そのものです。家庭で映画を見るのも、レンタルビデオ・CDの時期を経て、ネット配信になっています。調べものをするにも、百科事典からGoogle検索やWikipediaになり、今やChat GPTです。

仕事の仕方も大きく変わりました。一人に一台ずつのパソコンの導入、インターネットで社外や海外と情報交換から、コロナ後はリモート会議、リモート勤務になっています。以前、ITに詳しい若者に周囲が助けて貰っていましたが、これからのビジネスマンは情報機器を扱えるのが当たり前になります。

今も新しい情報技術の研究開発は盛んで、情報技術が社会をリードする時代は、当分、終わりそうにありません。そのため、これから大学で学ぶならば、「情報技術」がお得です。暮らしの中でのお得、遊びの中でのお得、効率的に仕事を片付ける上でのお得など「お得」の内容は様々ですが、ここでは「就職面でのお得」を中心に説明します。

産業界での情報システムの供給者とユーザー

情報システムの普及に伴うIT人材の需要変化

今や、ほとんどの企業が自社の情報システムを持っています。それは社員が使うシステムもあれば、顧客や外部の皆さんが使うシステムもあります。例えば、銀行のATMやネットバンキングの背後には巨大な情報システムがあります。そうした情報システムを自らの従業員だけで開発・運用している企業は少なく、通常、外部のIT企業の協力によってシステムを開発・運用しています。このため、産業界にはIT企業とそのユーザー企業があります。(ユーザーが企業ではなく消費者のケースもあります。)

これまで、わが国においては、IT人材の7割以上がIT企業で働いていて、ユーザー企業は3割未満でした。しかし、情報システムを所有しているのはユーザー企業で、システムの良し悪しによって、ユーザー企業の業績は大きく変わります。ユーザー企業は、「わが社の情報システムは、専門家であるIT企業に全てお任せしています。」と言っていて良いのでしょうか?欧米では、ユーザー企業自身が多くのIT人材を雇っており、IT人材の就職先はIT企業とユーザー企業とで半々だと言われています。そのため、ユーザー企業自身が社内のIT人材を強化し、自社の情報システムの在り方を考えるべきと言われてきたのですが、その流れに拍車をかけたのが、「デジタルトランスフォーメーション(DX)」です。

DXの大きな流れが全ての産業に波及し、デジタル・エコノミーの中での将来戦略を考え、業務プロセスを見直し、ヒトと情報システムの業務を切り分ける時、これをIT企業に丸投げしていてはいけません。ユーザー企業自身が、IT人材を社内に抱え、自ら考える必要に迫られています。そのため、現在、ユーザー企業は、IT企業からの経験豊かなIT人材のキャリア採用や大学からのIT人材の新卒採用に熱心になっています。さらに、情報システムの見直しに、これまで通り、外部IT企業の協力も求めていますので、IT企業もIT人材の採用に熱心で、IT企業とユーザー企業の両方でIT人材を取り合っている状況です。

不足するIT人材

次に、我が国におけるIT人材の需給をマクロに捉えてみましょう。その資料として、経済産業省が2019年に発表したものがあります。

 

表1 IT人材の需給見通し

2018年 2020年 2025年 2030年
IT人材供給の見通し 103万人 106万人 111万人 113万人
IT人材需要の見通し 高位ケース 125万人 147万人 169万人 192万人
中位ケース 136万人 147万人 158万人
低位ケース 126万人 128万人 130万人
需給ギャップ 中位ケース 22万人 30万人 36万人 45万人

出典:経済産業省「IT人材需給に関する調査」(2019年4月)を元に作成

 

これによれば、2018年現在で22万人のIT技術者が不足しています。その後、IT人材の供給は増えますが、IT人材の需要はそれ以上に伸びると見積もられており、需要の伸びが低いケースでも、不足するギャップは拡大します。中程度の伸びを見積もるケースでは、2030年に45万人が不足します。これは、本来必要とされる人数の72%です。すなわち、わが国全体でIT人材は全く不足しており、この不足状態は今後とも長く続きます(深刻化します)。これはわが国にとっては大きな問題です。(これまでも、ソフト面でのIT化が遅れたことが、世界におけるわが国の相対的な競争力が低下した大きな要因でした。)

一方、IT人材にとっては、これは必ずしも悪いことではありません。すなわち、わが国はもっと多くのIT人材を必要としており、将来、それは益々必要になります。IT人材は、IT企業とユーザー企業の両方から「引っ張りだこ」の状態が長く続くわけです。

IT人材の多様な就職先

IT人材は、IT企業とユーザー企業の両方から必要とされていますが、就職先として、まず、ユーザー企業から考えてみましょう。ユーザー企業とは、IT企業以外のほとんど全ての企業ということです。現在、少し大きな企業は、ほぼ全て、人事・会計を情報システムに置き換えており、企業独自の情報システムを開発・構築していたり、市販のパッケージソフトを使用したりしています。基幹業務システムについては、多くの場合、業務部門が中心になって業務プロセスを見直し、人手から情報システムに業務を移管していますが、そのシステムの開発・運用、情報セキュリティの確保の面で、情報セクションが活躍しています。どこの企業にも会計・経理部門があるのと同様に、今や、どこの企業にも情報セクションが必要になっています。(または、IT業務のための子会社を置いています。)

また、ユーザー企業には、それぞれの業種に固有のIT業務もあります。例えば、ものづくり企業(わが国の製造業には固有の技術力を持った伝統的な企業が数多くあります。)においては、生産管理のIT化による熟練技術者の個人技能依存からの脱却、CAD/CAMによる設計データの工場への直送、CAEによるシミュレーションなどが進んでいます。家電製品にはソフトウェアが組み込まれて、炊飯器の火加減、エアコンのコントロールなどが賢くなっていますが、その新製品開発には組み込みソフトの開発が不可欠になっています。自動車では自動運転が話題になっていますが、そのために巨大な自動運転ソフトを組み込む必要があり、自動車が巨大コンピュータシステムか巨大ロボットのようになりつつあります。運輸・流通業界においては、自動倉庫や配車の自動化、在庫管理や受発注の自動化、Webによるe-コマース、顧客管理・販売管理におけるビッグデータ分析なども進んでいます。

このようにユーザー企業のIT業務が増えるとIT企業のビジネスも増加し、ここでもIT人材が必要とされています。すなわちシステムエンジニア、プログラマー、Webエンジニア、データベースエンジニア、ネットワークエンジニアやITコンサルタント、プロジェクト・リーダー、プロジェクト・マネジャーなど様々なエンジニアが必要とされています。

さらに、情報セキュリティの問題が大きなニュースになることも増えました。行政システム、金融システム、電力・水道のインフラシステムなどは悪意のあるハッカーから24時間守る必要があり、社会的に重要な企業や行政機関がIT人材を必要としています。

以上のようにIT人材の就職先は、ほとんど全ての企業に及んでおります。(最近では農業のIT化なども話題になっています。)

就職戦線における情報系学生の優位性

情報系学生の就職は景気に左右されづらい

現在、多くの大学・学部で大学生の就職率は高くなっていますが、それは景気に左右される流動的なものです。しかし、景気が悪くなっても、企業は理工系学生の採用をあまり削減せず、理工系の就職率は安定的に良いのですが、その中でも、企業がもっとも欲しがっているのが情報系の学生です。それは、既に述べたように、マクロでIT人材が不足しており、また、就職先としてほとんど全ての企業(特に大企業や社会的に重要な企業)でIT人材が必要になっているためです。情報系の大学には、メディア論、情報社会学など社会での情報の使い方を学ぶ文系学部もあるようですが、理工系の情報学部の方が就職は良いようです。

就職戦線では、専門性の他に、①人柄や社会人基礎力、②論理的な思考力や地頭の良さも採用側の重要な評価ポイントになりますが、こうした条件が同じならば、専門分野が情報技術の方が有利で、就職難易度が1つ高い企業への就職が可能になるのではないでしょうか?この意味で、就職戦線においては、情報系(それも理工系の情報系)の学生が、少しお得のように思われます。

情報系学生の就職後の働き方

なお、就職後の働き方においても、リモートワーク(在宅勤務)、転職、独立などの面で、IT人材やIT業界が先行しており、働き方の多様性や自由度が広がっています。また、今後、簡単なプログラムは生成AIが作ってくれるようになっても、情報システムの基本や原理を理解しているIT人材の重要性は変わらないようです。

以上のように、これから大学に入学するなら情報系が少しお得ではないでしょうか?

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東京情報デザイン専門職大学では「実習・実技が全体の1/3以上」という専門職大学の特性を活かして理論と実践実技をバランスよく習得します。これからも需要が増えていくIT業界を目指す場合の進路の1つとして検討してみましょう。

 

 

 

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